人間の健康には生産的活動,余暇活動,日常生活活動といった作業のバリエーションが必要とされています.
作業バランスは
1.時間的なバランス (一日の作業数やそれを行う時間)
2.意味的なバランス(「したい作業」「する必要のある作業」「することが期待されている作業」といった作業に対する意味)
の両方をみる必要があり,そのいずれかもしくは両方のバランスが崩れた時に作業不均衡と判断されます.
臥床時間が多く日中の活動が少ない
服薬に消極的で日課になっていない
したいことしか行わず 周囲に求められる役割を行わない
・ 作業バランスの詳細は作業質問紙(OQ),GRID評価(詳細は後述)などを使って理解を深めることができます.
・ 時間的・意味的ともにバランスがとれるように話し合い生活を見直していきます.
(それに先立ってクライエントにとって適切な作業バランスについて検討を行う必要があります)
・ 特定の作業に時間を要すことで作業不均衡を生じている際には,その作業の遂行能力について評価・介入します.
効率的な作業遂行から作業不均衡の改善を図ることも可能です.
・ 慢性の重度クライエントに対しては仕事のような本人にとって価値のある作業への取り組みが大切といわれています.こうした作業に取り組むことで毎日の生活のリズムが促進されます.
Mona Ekund, Lena-Karin Erlandsson, Christel Leufstadius: Time use in relation to valued and satisfying occupations among people with persistent mental illness: Exploring occupational balance. Journal of Occupational Science, 17:4, 231-238.2010.
日常活動のバランスの評価
①日頃行っている活動をマスの該当する枠に記入する.
②解釈・・・赤ゾーン「ストレスとなる傾向が高い作業」
青ゾーン「ストレスコーピングとなる傾向が高い作業」
<実践例>
ストレスに注意しながら日常生活を継続するために,「赤ゾーンの作業は午前,午後で1個ずつ」にして,それ以外の時間には「青ゾーンの作業」の時間を行う様にして作業バランスの再構築を行う.
(参考) 織田靖史,芳賀大輔:神経症.精神科作業療法の理論と技術.メジカルビュー社.pp157-166.2018