作業疎外に陥ると,クライエントはやりたいことがなく単調な日々を過ごしているように感じます.
作業疎外の間クライエントは孤立感,アイデンティティの欠如,意思表現の狭小がみられます.
また,自分に原因がある内的要因によって生活行為に意味を見出せない状態も含まれます.
抑うつ(心身機能の問題)によって,自分にとって大切な作業を行うことができない場合は作業疎外と解釈することができます.
精神機能や遂行技能に問題が予想される時には,追加してそれらの評価を行います.
・ 精神機能の問題で作業機能障害が生じている時は精神症状を改善させる介入が必要です.服薬治療,各種心理療法など作業療法以外の治療方法の併用が必要なこともあります.
・ 遂行技能の問題で作業機能障害が生じている時は,クライエントの遂行技能を改善させる働きかけを行います.SSTの基本訓練モデルなどはその代表的介入のひとつです.
Mueser KT,Liberman RP,Glynn SM: Psycho-social international in Schizophrenia. Kales A, et al(eds): Recent Advances in Schizophrenia. Springer Verlag, pp213-235.
いま取り組んでいる作業にクライエントにとって重要な作業がある時
その作業をより満足に行うことができる様に支援を検討します.
具体的には,作業を通じての肯定的気分の体験,作業への没頭,他人と有意義で良好な関係をもつ作業,人生に意義を見出すことができる作業,目標をもてる作業が安寧(Well-being)を高める作業の要素とされています.
Seligman MEP,宇野カオリ(監修・翻訳):ポジティブ心理学の挑戦-幸福から持続的幸福へ.pp15-53,Discover 21 Inc,2014
日々の暮らしの中に楽しみがなく,いきいきした生活に結びつかない時
・ クライエントの興味を知り意味のある作業を検討していきます.
・ 具体的ツール:興味チェックリスト,ADOCなど
・ 過去の作業経験や,将来的に行いたい作業などについて話し合いを行います.
・ その他にも様々な作業体験を繰り返すなかで本人にとって興味のある作業を探求していくことも可能です.
・ クライエントのポジティブ作業(健康と幸福を促す作業)の傾向を評価し,その作業への取り組みを支援するポジティブ作業に基づいた実践(POBP)を行う.
Noguchi T, Kyougoku M, Kawakami T, Nishimoto Y, Kashihara K: Effect of occupational therapy program to promote well-being in people with experiences of mental illness: quasi-experimental study.Occupational Therapy in Mental Health. 2017.
マインドフルネスは退屈感を和らげる効果があり,作業疎外の改善に有効性が示唆されています.
Martin, Marion, Sadlo, Gaynor and Stew, Graham: Rethinking occupational deprivation and boredom. Journal of Occupational Science, 19 (1), pp. 56-61.2012.