ブログの更新がまるで年刊のようになっています...
今回は先日行われた第6回日本臨床作業療法学会(浜松)での自主企画について書きたいと思います.
自主企画は「精神科作業療法の研究」をテーマに,福井記念病院の松岡さんと北里大学の川口さんと一緒に企画しました.
企画にあわせて事前に精神領域での研究動向を調べたので,その内容について簡単にシリーズで紹介したいと思います.
国内の論文の動向
ちなみに協会から発刊されている「作業療法」の研究動向については既に丁寧に報告されていて,
国内の研究動向(2006年〜2015年)を知るにはこちらが最適です.
新宮尚人:2006年から2015年の『作業療法』掲載論文の分析と考察 : 精神障害領域.作業療法36(6),559-566.2017
http://www.jaot.or.jp/wp-content/uploads/2010/08/practice-lecture-36-6-1.pdf
詳しくはぜひ直接論文でご覧いただきたいですが,ポイントとしては
国内の論文の傾向
・EBPの流れのなかで精神科の論文も増えてきている(全論文の14.3%)
・統合失調症からその他の疾患へも研究対象が広がってきている
・認知機能障害への注目
などがあげられます.
その中で,今後の課題としては
・生物学的レベルでの疾患解明が進む中,それに基づくリハビリテーションの実施が必至
・質的研究と量的研究の補完的研究スタイルが不可欠
と報告されていて,この辺は今後の研究で大いに意識するポイントだと思います.
しかし,今回はより広くタイムリーな今の作業療法の研究や臨床の様子を知りたかったので,全国学会の抄録から研究動向をおってみることにしました.
今回のデータは最近3年分(2016~2018)の日本作業療法学会で「精神障害」のカテゴリーで発表された口述発表,ポスター発表の307演題が対象です.
学会発表の動向
精神領域に関する演題は毎年約100演題発表されているようです.
全国学会には毎年1500演題前後の演題が集まります.
精神医療に従事するOTの割合から考えてももう少し精神領域の演題数が増える(精神領域の研究がもっと盛んになる)といいなと率直に感じました.
研究デザインとしてはこんな感じです.
一番多いのは事例報告で37%.
次いで観察研究が35%でその多くは横断研究でした.
はじめに思っていたよりも観察研究の割合が多かった印象です.
「その他」には,文献研究,尺度研究,マネジメントに関するものなどがありました.
研究デザインについては,適宜グループで相談しながら分類してみました.
しかし研究デザインの記載が不明瞭(抄録のために十分に読み取れなかった)な研究もあり,判断に迷う研究デザインが時々ありました.
作業療法のエビデンスに貢献するためにも予め研究デザインを意識した研究が増えてくるといいなと思っています.
Part2では,学会抄録に書かれていたタイトルとkey wordの分析からみえてきたことをお伝えします.
年刊にならないように近日にはupします!
最後まで読んで頂きありがとうございます.